コードが書けない人が、毎月の手作業を自動化するまで
自動化する対象の選び方と、失敗しても被害が出ない範囲から始める段取り。実際に手を動かす前に決めておくことを、順に書きます。
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自動化に失敗する人は、たいていいちばん複雑な作業から手を付けます。いちばん困っているのがそこだからです。
しかし複雑な作業は、判断が絡み、例外が多く、間違えたときの影響も大きい。最初にそこを選ぶと、動かないまま時間だけが過ぎます。
最初に選ぶべき作業の条件
3つ全部を満たすものから始めてください。
毎月やっている。 一度きりの作業を自動化しても、作る時間のほうが長くなります。頻度が価値を決めます。
判断がない。 「見て決める」が入る作業は難しい。ファイル名を変える、形式を変換する、決まった場所に振り分ける。この種類が向いています。
間違えても取り返せる。 コピーを作る作業は安全。元を書き換える作業や、削除する作業は危ない。最初は安全なほうを選びます。
この3つに当てはまる作業は、探すと意外にあります。月次の請求書のファイル名を整える、受け取ったデータを決まった形式に変換する、写真をまとめてリサイズする。
自動化する前に、まず手順を言葉にする
これが実質的な設計作業です。ここができれば半分終わっています。
自分がやっていることを、他人に説明するつもりで書き出す。
- 共有フォルダの「今月」にあるPDFを全部見る
- ファイル名の先頭に、その中に書いてある請求日を YYYYMMDD で付ける
- 取引先ごとのフォルダに移す
- 取引先フォルダがなければ作る
書き出すと、自分でも曖昧だった部分が見つかります。「請求日が2つ書いてあったらどうする?」「取引先名が略称のときは?」
この曖昧さを先に潰しておかないと、動かした後に想定外の結果が出ます。逆に、ここが明確なら実装はAIに任せられる。
道具
Claude Codeのように、自分のPCのファイルを読み書きしてコマンドを実行できるものが向いています。上で書き出した手順をそのまま日本語で渡せば、動くものが返ってきます。
チャット型のChatGPTでも、スクリプトを書いてもらって自分で実行する形なら可能です。ただしファイルの状況を毎回説明する必要があるので、往復が増えます。
書けなくていい。説明できればいい。 これは本当です。ただし次の節は飛ばさないでください。
安全に始めるための段取り
いきなり本番のフォルダを触らせないでください。順番はこうです。
まず、テスト用のフォルダを作って、本物のファイルのコピーを10個置く。本物ではなくコピーです。
次に、そのフォルダで動かす。実行前に「何をしようとしているか」の確認が出るので、読んでから承認する。 読まずに承認し続けるのが、いちばん危ない癖です。
結果を目で見て確認する。想定と違えば指示を直して、もう一度。
これを2〜3回繰り返して安定したら、本番のフォルダのバックアップを取ったうえで実行する。バックアップは省略しないでください。 ファイルを削除するコマンドも、同じ仕組みで実行できます。
つまずきやすいところ
例外が出る。 100件中3件だけ形式が違う、といったことは必ず起きます。全部を自動化しようとせず、「97件を自動で処理して、残り3件は手で」でいい。ここで完璧を目指すと終わりません。
動いたが、何をしているか分からない。 これは危険な状態です。自分で説明できない処理を毎月動かし続けると、いつか壊れたときに直せません。何をしているかの説明を、コメントなり手順書なりで残しておいてください。
環境が変わって動かなくなる。 PCを買い替えた、フォルダ構成が変わった。こういうときに再現できるよう、作ったものはひとつの場所にまとめておく。
業務データを扱う前に
顧客情報や機密情報を含むファイルを処理させる場合、勤務先の規程を確認してください。ツールの問題ではなく、運用の問題です。
自分の判断で始められる範囲か、確認が要る範囲か。ここを先に区別しておくと、後で止められることがありません。
効果の見積もり
月1時間かかっている作業を自動化すると、年12時間浮きます。作るのに3時間かかったとしても、初年度で回収できます。
ただし維持にも時間がかかることは見込んでおいてください。年に1〜2回は直す必要が出ます。それでも、毎月同じ手作業を続けるよりは軽い。
逆に言えば、月に5分の作業を自動化しても回収できません。頻度と1回あたりの時間を掛けて、年間で1時間を超えないなら手でやったほうが早い。 ここは冷静に計算してください。
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